住まいの賃貸借契約で確認しておくべきこと

賃貸借契約書のサンプルとペンの画像
入居審査を無事通過すれば、いよいよ契約です。新しい生活までの最終ステップに安心していることでしょう。でも、契約書は普段なかなか見る機会がないもの。小さな文字で書かれている事項が多く、なんとなく流し読みしてしまうことも。しかし、契約書を取り交わすときには、しっかりと確認しておきたい部分はたくさんあります。契約を結んだ後に「えっ!そうだったの?」と慌てないために、確認ポイントを把握しておきしましょう。

家賃の発生時期を把握しておく

賃貸住宅を借りる場合、家賃が発生するのは基本的には契約日からです。「自分が入居する日」や「引越しで荷物を運んだ日」から家賃が発生するわけではないので、誤解しないようにしましょう。

 

契約した日が基本的に家賃発生の基準日なので、入居が少し先になる人は「住んでいない期間」について無駄な家賃と感じるかもしれません。特に、賃貸住宅から賃貸住宅への転居なら、両方の物件に二重に家賃を支払う期間が発生する可能性があります。ダブルで家賃を払うのは大変なので、新居の入居日と旧居の退去日を調整しながら契約するのがベター。しかし、現実的には人気物件はすぐに埋まるため、「この物件に住みたい」と理想の物件が見つかったら早めに契約した方がいいとうこともあります。

 

できるだけ無駄な費用がかからないように、いつから家賃が発生するかは、契約前にしっかり確認しておくべきポイントです。

「特約事項」の確認について

白壁に記した賃貸借契約の特約、更新の語句を指し示す女性の画像

契約書には、退去するときに「入居中にできた傷や汚れの原状回復」についての内容が記載されています。

 

家具の設置による跡や黒ずみ、壁紙の変色など、「ごく普通に暮らしていて生じた損耗や劣化」については、貸主に原状回復義務があり、その費用も負担することになっています(民法621条)。一方、掃除をサボり過ぎてできた汚れやカビ、物品を落としたりぶつけたりしてできた傷など、使い方が悪いことが原因のものについては、借主が負担することになっています(同法)。

 

ただ、上記の民法条項は任意規定です。つまり、当事者である貸主・借主双方の合意があれば、この法令以外の規定を独自に定めることができるのです。それは「特約(事項)」として契約書に記載されます。

 

事例としては、具体的な原状回復の範囲、内容ごとの負担配分などの設定があります。特約事項を確認しておかなかったために、退去時に原状回復費用の支払いでトラブルが起こることもあるので要注意です。ただし、法令の規定を超えて一方的に借主が不利になるような特約は、そもそも無効になりますから、もしもそのような内容が書かれているなら確認するとともに変更もしくは削除を要求するべきでしょう。

 

また、契約書には、「これはしてはダメ」という禁止事項も記載されています。ペットを飼うのはNG、第三者への又貸しの禁止、勝手なリフォームをしてはいけないなど、物件ごとの禁止事項はきちんと読み、契約違反とならないように注意しましょう。

 

なんとなく流し読みしそうな契約書ですが、特約に関して疑問があれば、後で困らないようにしっかり確認することが大事です。

契約更新について

賃貸借契約は、一度契約したらそれがずっと有効というわけではありません。一般的に多いのは、契約期間2年という設定。それを過ぎると、「その後も住み続けるか」を判断して、継続して住むならば契約更新手続きをすることになります。

 

更新時には、単に「更新しますよ」という手続きだけではなく、1カ月分程度の更新料を支払うことが多いです。このほか手数料や火災保険の更新契約費用が必要になってくるケースもあります。

 

更新料の徴収は、地域の慣習的な違いや物件ごとにも違いがあります。物件によっては更新料がかからないものがあります。更新料がある場合は、更新月に家賃の2倍の支出が発生することになるので、そのための準備が必要です。契約更新は先のことですが、そのときに慌てないように、契約書の内容は隅々まで確認しておきましょう。

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